アドラー心理学に基づく    子育てサークルAdlerjala   (アドラージャーラ)活動報告


by adlerjala

第10回Adlerjala2 エピソード「病院にて」

第10回AdlerjalaでYさんに話していただいたエピソードです。
記事にすることを快諾してくださってありがとうございました016.gif


        〜 病院にて 〜

ある日Yさんが娘さん2人を連れて病院に行きました。
5歳の妹ちゃんが先に診察してもらいました。

診察の終わりに、先生が「じゃあお薬出しときますね」と言うと、
妹ちゃんが黙ったまま、パソコンに向かってマウスを動かしている先生の手を
バシバシと叩き始めました。
妹ちゃんの横に立っていたYさんは「妹ちゃん、やめよう」と言いましたが
妹ちゃんは黙ったまま先生の手をバシバシと叩き続けています。
Yさんは2回ほど「やめよう」と言いましたが、妹ちゃんはやめません。

Yさんは「お姉ちゃんの番だから交代ね。」と言って
妹ちゃんをイスから降ろしました。
妹ちゃんはギャー!と叫んで、先生に向かって行こうとしたので
看護師さんが「私がしますから!」と言って妹ちゃんを横抱えにしました。
妹ちゃんは「はなしてー!はなしてー!」と大暴れしました。
顔を真っ赤にして、手を振り回して、今にも看護師さんを蹴りそうです。
Yさんはお姉ちゃんの診察の手伝いをしました。

看護師さんたちは2人がかりで妹ちゃんを他の部屋へ連れて行こうとしましたが、
先生が「奥に連れてってどうする、出すならこっち(待合の方の廊下)だろう」と言いました。
Yさんは「もうその(暴れた)ままでいいので・・・廊下に降ろしてやってください」と言いました。
看護師さんたちは妹ちゃんを診察室の外の廊下に連れて行こうとしました。
妹ちゃんは「いやだお母さんがいいー!」と叫びました。
Yさんは「お母さんは今行けないから自分で出てくれますか。」と言いました。

廊下に出された妹ちゃんは、寝転がってじたばた暴れていましたが、
看護師さんが見えなくなると、「ふう」と息をついて静かになりました。


病院から帰る直前は、
妹ちゃんは奥の処置室で、診察室にいたのとは別の看護師さんと
仲良くガーゼをたたむというお仕事のお手伝いをしていました。
そしてご機嫌になって帰宅しました。

         〜 完 〜


まず、妹ちゃんとYさんのストレンクスをみんなで出し合いました。

妹ちゃんのストレンクス
・自己主張できる。嫌なことはいやと言うことができる。
・相手が誰であっても、臆さない。自己主張できる。
・切り替えが早い。(看護師さんが見えなくなったらすぐに落ち着いたり、
 別の看護師さんのお手伝いをしたり。)
・大人の困ることをよくわかっている。
 大人が本気で怒るぎりぎり手前でやめることができる。
・効果的な演出ができる。演技派。
・自分の味方になってくれる人をすぐに見分けることができる。

Yさんのストレンクス
・妹ちゃんのことをよくわかっている。
・妹ちゃんのパターンをよくわかっている。(看護師さんにそっとしておいてくださいと言った)
・妹ちゃんのすることや、先生や看護師さんのすることに口を出さない。
 見守っている。
・冷静に、自分がどうすればいいかを考えている。


Yさんは、妹ちゃんがいやだーと騒ぎ始めてからは、
もうそれをやめさせるいい方法はないとわかっていらっしゃったので、
Yさんがこのエピソードで気になっているところは、
妹ちゃんがなぜ先生の手を叩いていたのか、ということでした。
(この妹ちゃんの行動を、アドラー心理学用語で「ライフタスク」といいます)

そこで、Yさんが「妹ちゃん、やめよう」と言ったことで、
(このYさんの行動を、アドラー心理学用語で「対処行動」といいます)
妹ちゃんにはどうしてもらいたかったのかをお聞きしました。
(このYさんの考える妹ちゃんの理想の行動を、
 アドラー心理学用語で「仮想的目標」といいます)
Yさんは、このとき妹ちゃんに、
「だって〜だから、(先生の手を叩いているの)」と、
Yさんに言葉で、叩いている理由を話してもらいたかったのだそうです。
そうすることで、妹ちゃんが何をしたいのかをわかりたくて、
そうすれば何かよい方法を見つけられるかもしれないと考えた、と話してくださいました。


Yさんは妹ちゃんの行動の理由を知りたかったのですね。
それで、みんなでこのときの妹ちゃんの気持ちを想像してみました。
Yさんがこのときの様子を詳しく説明してくださったので、
このときの診察は、先生がささっと診ただけで、
あまり妹ちゃんが満足していないようだったということがわかりました。
先生が妹ちゃんの方を見てくれていないことが気になっていたのかな?
妹ちゃんは先生の気を引きたくて、注目関心を求めて、叩いていたのかな?
という意見が出ました。


Yさんが問題だと思われるところをお聞きすると、
妹ちゃんが言葉で自分の気持ちを(「もうちょっとちゃんと診てください」など)伝えずに、
無言でしつこく叩いてアピールした、ということでした。

どうやら妹ちゃんは普段から、Yさんに対しても
Yさんの夫さんに対しても、お姉ちゃんに対しても、
相手にやめてって言われてもしつこく嫌がることをし続ける、
ということがよくあるそうです。
普段はそういうとき、妹ちゃんはどうやってやめることになるのですか?とお聞きすると、
たいていは相手に怒られてやめることになるのだそうです。
・・・状況はよくよくわかります。我が家でも思い当たることがありすぎです・・・025.gif
妹ちゃんにしても、続けているうちに引っ込みがつかなくなっちゃうんでしょうし、
こちらだって怒りたくありません。
どうしたらお互い平和的に解決できるでしょうね。


注目関心をたくさんほしい子っていうのは、お手伝いをしたい子だと、
パセージ開発者の野田俊作先生からお聞きしたことがあります。
問題が起きてしまう前に、何か工夫ができたらいいですね。
そして、よくないことをわざわざしてこちらの気を引こうとしなくたって、
私はいつもあなたを見ていますよって伝えられたらなあと思います。


この日は診察室に入ったときから、
妹ちゃんはイスに大人しく座って、背中を見てもらったりする間もとてもいい子に、
診察がしやすいように服を押さえたり、いろんな方向を向いたり、
協力してくれていたのだそうです。
そう、とっても頑張ってお手伝いをしてくれていたんですね。
でも先生はほとんど妹ちゃんの方を向いてくれなかったので、
妹ちゃんはそれが嫌だったのかもしれません、とYさんが話してくれました。

それでは、次からYさんはどういう工夫ができるかな、とみんなで話し合いをしました。
診察室に入るまでに、妹ちゃんに
「ここの先生はね、あんまりこっちを見てはくれないけど、
 よく効くお薬を出してくれるいい先生だからね、ちょっと我慢しようね。」
と事前に説明をしておく、という意見が出ました。
だってまさか先生に、「うちの子の診察のときは、ちゃんと目を見て話してくれませんか」
なんて頼めないですもんね(笑)
他人の行動は変えられません〜・・・変えられるのは、自分の行動だけです045.gif

それに加えて、妹ちゃんが十分私は注目関心をもってもらえているな、と思えるように
Yさんの行動が工夫できればいいですね、と話し合いました。
この診察のときは、Yさんは妹ちゃんの顔が見えない位置に立っていたそうなので、
ときどき妹ちゃんの顔が見えるところに移動したり、
それができない場合は、背中や肩にやさしく、とんとんと手を当てておく、
ということができるかもしれません。


最後に、パセージテキスト「行動の目的にはどんなものがあるか(4−R)」
の読み合わせをしました。

この診察の日は、いつも妹ちゃんに注目関心をたっぷり与えてくれるお姉ちゃんが、
宿題に一生懸命取り組んでいて、妹ちゃんは話せなかったそうです。
それでよけいに妹ちゃんは、注目関心不足になりやすかったのかもしれませんね。
逆に言うと、妹ちゃんにはお姉ちゃんがいて、ほんとうにラッキーですね012.gif
姉妹で仲良く、育っていってほしいなあと願ってやみません。


Yさん、エピソードを出してくださってありがとうございました。
みなさま、今回もまた深い学びをありがとうございました!



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by adlerjala | 2016-04-27 23:22 | エピソード